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قصة الكتاب :
講談社/2013年/329ページ/本体1500円/ISBN 978-4-06-218365-9 辻村 深月 1980年山梨県生まれ。2004年に『冷たい校舎の時は止まる』でメフィス ト賞を受賞しデビュー。のちに映画化された『ツナグ』で吉川英治文学 新人賞、ドラマ化された『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞。他に『凍 りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』など。
朱あ かり里、衣きぬ花か 、源げ んき樹と新あらたは冴さえ島じまという瀬戸内海の離島に住んでいる高校生だ。島には 高校がないため、いつも同じ時刻にフェリーに乗って登下校する。この小説は多感な 青春期を過ごす4人の喜怒哀楽と、彼らの目に映った周りの人たちの日常を地方風俗 画のように描き上げている。 離島に住んでいながら、毎日本土に通うという設定は物語の展開に奥行きをもたら した。彼らは島の人間であり、故郷のことをよく知っている。一方、毎日島を離れて、 本土で学校生活を送るから、離島から外の世界を眺めると同時に、外から島を眺める という視点も併せ持っている。故郷を脱出してきた移住者の姿を捉えるには、この移 動的・中間的なまなざしは力を発揮する。そして、他者を見ている間に、4人の高校 生も成長し、恋愛や友情などさまざまな人間関係を経験する。 細部に至るまで緻密に構成されている。人にはそれぞれ違う物語があるのに、この 作品の登場人物の人生は互いに無関係の断片ではなく、一つの物語の中に巧みに組み 込まれている。 何よりも律動的な文体が小気味よい。地方生活ののどかさが、離島の暮らしに特有 の閉塞感とともに、繊細な筆致で捉えられている。青春小説としては珍しい設定で、 大都市の読者を意識した手法も功を奏している。(CK)
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