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قصة الكتاب :
筑摩書房/2013年/166ページ/本体1300円/ISBN 978-4-480-80448-8 岩城 けい 1971年大阪府生まれ。大学卒業後、単身でオーストラリアに渡り語学留 学。1998年より永住。日本語の家庭教師、保険会社の事務、製品マニュ アルの翻訳などさまざまな経験を経て結婚。2013年に発表した本デビュ ー作で太宰治賞および大江健三郎賞を受賞。
主人公のサリマはアフリカからオーストラリアに移住した難民で、夫に逃げられて から、女手一つで二人の子供を育てている。彼女が通う英語クラスには、生まれてま だ数カ月の娘をつれて勉強に来ているイトウ・サユリという日本人女性と、オースト ラリアの男性と結婚したイタリア人のパオラがいる。いずれも異国の地で不自由な英 語と格闘しながら、生きるために悪戦苦闘している。 ある日、サユリの幼い娘が命を落とし、サリマの夫は2年ぶりに姿を現し、子供を 連れていった。パオラはというと、鬱病にかかり、イタリアに一時帰国した。 この作品は地の文がサリマの視点から描かれ、合間にサユリが英語の先生に宛てた 手紙が挿入されている。パオラについては地の文にも手紙にも登場する。 異国での生活を通して描かれているのは生きることの難しさだ。もともと女性は社 会的に不利な立場に置かれることが多いが、いったん母国を離れると、二重の不利益 を被こうむることになる。サリマは生きるために、肉処理場での重労働を男のようにこなし、 サユリも夫が家庭を顧みないため、自立しなければならない。パオラは成人した子供 たちが家を出てから、生きる目標を見失いがちになる。そこに人種問題が絡むと、彼 女らは非日常を日常として受け入れて生きていくしかない。母語は通じず、慣れ親し んだ文化や環境から離れたという状況設定は、人間の内面を深く掘り下げて表現する のに最大の効果を発揮した。(CK)
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