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قصة الكتاب :
新潮社(新潮文庫)/2003年/362ページ/本体550円/ISBN 978-4-10- 134915-2 重松 清 1963年岡山県生まれ。出版社勤務を経て執筆活動に入る。1991年『ビフ ォア・ラン』でデビュー。1999年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』 で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木賞、2010年『十字架』で 吉川英治文学賞を受賞。他に『青い鳥』『ポニーテール』『ゼツメツ少年』 『一人っ子同盟』など。
『ビタミンF』は、現代日本の家族に焦点を合わせた7編の短編集である。手練れの 作家による、極めてwell madeな作品集で、どの一編をとっても、巧みな構成と読者 を引きつけるプロット、そして何よりも、すべての作品に登場する父親の姿の印象深 さなどによって見事な出来映えになっている。「ビタミンF」というのは、作者によ る造語であって、さまざまな意味がこめられているようだが、ここでFはやはり family(家族)を強く連想させる。この短編集に登場するのは、30代後半から40代の、 中年にさしかかった男たちだ。彼らは家族を持ち、東京近郊のニュータウンにささや かな住居を持ち、勤勉なサラリーマンとして給料を稼ぎ、家庭ではよき夫にして父で あろうとするが、なかなかそれが実行できない、平凡な人たちである。 ここに描かれるのは、必ずしも幸福な家族ではないし、家族のメンバーの間でコミュ ニケーションが潤滑に行われているわけでもない。自分が学校でいじめられているこ とを、両親に打ち明けられない少女。娘からは大事なことは何も話してもらえない父 親。しかし、すべての作品から、しみじみとした優しさが漂ってくる。それは作家の 人間を見る目の温かさゆえだろう。家族の絆は壊れかけてしまっても、やはり家族の 愛は大切なのだ。そう重松清は私たちに語りかけてくる。(NM)
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