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قصة الكتاب :
河出書房新社/2012年/160ページ/ 本体1400円/ISBN 978-4-309- 02122-5 鹿島田 真希 1976年生まれ。高校時代にドストエフスキーなどのロシア文学に傾倒。 白百合女子大学文学部フランス文学科在学中の1998年に『二匹』で文藝 賞を受賞し、小説家デビュー。2005年『六〇〇〇度の愛』で三島由紀夫 賞、2007年『ピカルディーの三度』で野間文芸新人賞、2012年『冥土め ぐり』で芥川賞を受賞し、史上二番目の三冠を達成。
新幹線に乗って、夫婦が東京から小旅行に出かける。36歳の夫・太一は、8年前、 突然脳の発作に襲われ、四肢が不自由になった。それは妻の奈津子にとっても、思い もよらない試練だった。とはいえ、その8年間は奈津子の人生の中で、むしろ以前よ りましと思える期間だった。結婚前の、自分の母および弟と暮らした日々は、彼女に とって思い出したくもないおぞましい記憶だった。<それは貧困でも、孤独でも、病 気でもない、なにものかだ>。夫との旅は、その「なにものか」をよみがえらせ、そ れと対峙する機会となる。 行く先のホテルは、かつては高級リゾートホテルとして知られ、奈津子の母にとっ てなじみの場所だった。それがすっかり格を下げ、安価で宿泊できる宿となっている。 ホテルの没落は、奈津子にとって父亡き後の実家の没落と重なりあう。裕福だった過 去に執着する母と弟は浪費をやめず、身勝手なふるまいの数々によって奈津子を脅おびやか し、苦しめ続けてきた。だがいま、旅先で奈津子は、体の不自由な夫が、そんな家庭 の呪いとは無縁の、不思議な強さを持った人間であることを発見していく。一人の女 性の困難な生を通して、現代の日本社会の苦しみと、そこに薄日のように差す希望と を描き出した、芥川賞受賞作品である。(NK)
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