قصة الكتاب :
講談社(講談社文庫)/2006年/349ページ/本体571円/ISBN 978-4-06- 275530-6 酒井 順子 1966年東京都生まれ。高校在学中より雑誌にコラムを執筆。3年間の会 社員生活を経てエッセイストに。『負け犬の遠吠え』で婦人公論文芸賞、 講談社エッセイ賞をダブル受賞。「負け犬」は2004年度流行語大賞にト ップテン入りした。他に『女を観る歌舞伎』『泣いたの、バレた?』『オ リーブの罠』など。
「負け犬」は著者の新造語で、未婚、子ナシ、三十代以上の女性を指しているが、 単に結婚適齢期を逸した女性を意味しているのではない。高学歴、高収入で仕事では 一定の成功を収めたキャリア・ウーマンが暗黙の条件になっている。「負け犬」はな ぜ発生し、どのような生活を送っているのか。自分たちが置かれた立場をどう思って いるのか。本書では諷ふ うし刺と自じちょう嘲をこめてユーモアたっぷりに描かれている。 「負け犬」という用語には鋭い社会批判がこめられている。日本では「男尊女卑」、「男 は外、女は内」という古い意識が根強く残っており、男性は自分より学歴の高い、ま たはキャリアや収入の高い女性と結婚したがらない。 一方で「負け犬」たちは自分の能力を発揮し、社会に参加している。経済的には独 立しており、好きなようにショッピングをし、友達と自由に外食を楽しみ、いつでも 海外旅行に行ける。既婚女性のように、夫に仕える必要はなく、育児の負担もない。 その気になれば、思う存分恋愛できる。「未婚女性が惨みじめ」とはただ時代遅れの考え 方にすぎないことを、自らの生き方を通して示している。 とはいえ、晩婚あるいは結婚しない女性に対する社会的偏見はまだ根強くある。著 者はそうした偏見を擁護するかのように語りを展開しつつ、「負け犬」を作り出す社会、 および彼女らに対する偏見を痛烈に諷刺している。 本書は女性の社会進出を取り巻く環境、恋愛に対する女性の意識の変化を映し出す だけでなく、優れた社会批判、興味深い文明批評にもなっている。(CK)
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