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قصة الكتاب :
角川書店(角川文庫)/2004年/247ページ/本体476円/ISBN 978-4-04- 374001-7 大崎 善生 1957年北海道生まれ。2000年、ノンフィクションとしてのデビュー作『聖 の青春』で新潮学芸賞、翌年に第二作目の『将棋の子』で講談社ノンフ ィクション賞を受賞。2002年には初の小説作品『パイロットフィッシュ』 で吉川英治文学新人賞を受賞。他に『アジアンタムブルー』『九月の四 分の一』『エンプティスター』など。
大学進学のため、札幌から上京してきた山崎隆二は、偶然、喫茶店で川上由希子に 出会う。大都会の生活に馴染めず、孤独の崖から転がり落ちそうになったとき、由希 子は助けの手を差し伸べてくれた。それをきっかけに二人は付き合いを始める。3年 後、世話になっていたロック喫茶店長の渡辺が不慮の事故で亡くなり、二人は大きな 衝撃を受ける。折しも、山崎は誘惑に負け、由希子の親友である伊都子と行きずりの 浮気をした。それに気づいた由希子は傷心し、山崎のもとを去る。そして、19年後、 一本の電話によって、過ぎし日の記憶がよみがえってきた。 近代的な恋愛は禁忌を破る表徴として描かれることが多い。しかし、現代において 克服すべき障しょうがい碍はほとんど存在しない。男女が出会い、結ばれる、もしくは別れてい く。それだけの物語に運動性を持たせるために、恋愛をどのように描くべきか。現代 の作家たちにとって大きな課題になる。 作家は都会生活の孤独に着目し、突破口を見いだした。意志の弱さ、不意の裏切り、 傷つきやすい心、過剰な自尊心。現代人にありがちな気質だが、ちょっとしたきっか けでたちまち恋愛の障碍になる。人間関係の希薄さ、大都会の華やかさと背中合わせ の孤独感も、恋の難しさを表現するのに効果的な舞台装置になる。透明感のある文体 は、初秋の澄んだ青空のようにさわやかで美しい。自然風景や人物の表情、あるいは 何気ないしぐさを通して、情緒が細密画のように描き出され、気の利いた会話もほど よく散りばめられている。近年の恋愛小説の中で、ずば抜けて優れた作品である。(CK)
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