قصة الكتاب :
講談社/2014年/309ページ/本体1800円/ISBN 978-4-06-219065-7 岸本 佐知子 1960年神奈川県生まれ。大学卒業後、洋酒メーカー勤務を経て翻訳者と して独立。ニコルソン・ベイカー『中二階』、リディア・デイヴィス『ほ とんど記憶のない女』、ミランダ・ジュライ『いちばんここに似合う人』、 スティーヴン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』、ジュディ・ バドニッツ『空中スキップ』等の翻訳で知られる。『ねにもつタイプ』 で講談社エッセイ賞受賞。
愛を扱った現代日本作家による短編12編を集めたオリジナル・アンソロジーである。 しかし、この本のタイトルには、翻訳できない言葉遊びが含まれている。「恋愛」で はなく、「変愛」というのは、つまり「変な愛」という意味だ。「変愛」は「恋愛」に 音も形もよく似ているが、辞書には存在しない新造語である。英米文学の翻訳家とし て人気を博す岸本は、これまで自身の編訳で、2冊、『変愛小説集』という独創的な現 代英米短編アンソロジーを出版しているが、今回はその「日本編」。岸本が選んだ現 代日本の作家12人が、彼女の求めに応じて「変な愛」をめぐる短編を書いたのである。 「変愛」とは、岸本によれば、普通の恋愛の基準からはみ出した、<グロテスクだっ たり極端だったり変てこだったりする>愛のことだが、それが実は究極の純愛である という逆説を、ここに収められた作品は示している。収録された作家は、本谷有希子、 村田沙耶香、木きのした下古ふるくり栗といった若手から、川上弘美、多和田葉子、星野智幸といった、 いま一番脂の乗った中堅世代を経て、津島佑子、吉田知子といったベテランまで。現 代日本文学の多様さを鮮やかに示す断面図となっている。(NM)
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