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قصة الكتاب :
角川書店(角川文庫)/2007年/540ページ/本体705円/ISBN 978-4-04- 183514-2 姫野 カオルコ 1958年滋賀県生まれ。1990年に出版社に持ち込みをした『人呼んでミツ コ』で単行本デビュー。1997年『受難』、2004年『ツ、イ、ラ、ク』、 2006年『ハルカ・エイティ』、2010年『リアル・シンデレラ』が直木賞 候補になった。2014年『昭和の犬』で直木賞受賞。
とある小学校二年の少年少女を主役とする人間ドラマが始まる。早くから恋心が芽 生えた少女たちは、大人に劣らぬほど複雑な人間関係を築く。やがて中学生になり、 彼女たちは性に目覚めていく。中でも森本隼子の青春はひときわ異彩を放つ。彼女は 国語教師の河村と激しい恋に落ち、ついに傷ついて卒業していく。隼子の早熟な性体 験を中心に、少女たちの生態が揶や ゆ揄 の利いた筆致で生き生きと描き出されている。 十代の恋愛につきまとう、清純で美しく、繊細で傷つきやすいというイメージが、 この作品では一掃された。少女たちは恋をすると、たちまち性におぼれ、一夜のうち に女へと変身する。恋愛と性の境界線は曖昧で、当事者はそんなことには無頓着だ。 未成年の彼女たちにとって、ひたむきな愛情と性の謳お うか歌の区別など必要ないのかもし れない。十代の若者の奔放な愛がここまで単刀直入に描かれたのは初めてであろう。 とりわけ目を引くのは作家が用意した文体である。絶妙な文章感覚に基づき、異な る文体を効果的に使い分けながら、成長を続ける少女たちの多様な生き方を表現して いる。 笑いの要素が大胆に持ち込まれたのも特徴だ。恋愛小説でユーモアは扱いにくい が、この作品では諧かいぎゃく謔の成分がテキストの中に有機的に組み込まれている。恋愛小説 の法則を片っ端から覆した作品だが、いままでにない新鮮さと感動がある。独特の物 語展開と多様な語りの合成は、将来にわたって読者の記憶にとどまるであろう。(CK)
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