قصة الكتاب :
文藝春秋(文春文庫)/2013年/560ページ/本体760円/ISBN 978-4-16- 783870-6 渡辺 一史 1968年愛知県生まれ。中学、高校、浪人時代を大阪府で過ごす。北海道 大学入学と同時に札幌市に移り住み、大学中退後北海道を拠点にフリー ライターとして活動。2003年『こんな夜更けにバナナかよ』で講談社ノ ンフィクション賞、翌年大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。2012年サ ントリー学芸賞などを受賞。
鹿野靖明は進行性筋ジストロフィーという病気を患った重度の障害者である。診断 されたのは小学校6年生のときだが、18歳になって足の筋力が低下し、車椅子の生活 を余儀なくされた。ふつうなら一生親の世話を受けて暮らすか、身体障害者施設に入 るところ、個性の強い鹿野は23歳のとき「自立生活」の道を選んだ。自ら街に出て、 チラシを配ったり、新聞に広告を出したりして、ボランティアを募る。 彼の周りには大学生や主婦を中心とするボランティアが集まり、鹿野を中心に一つ のコミュニティが形成される。本書は集まった500人ものボランティアたちの群像を 描いている。 自ら認めるように、鹿野靖明はわがままである。日々の三食はいうにおよばず、ト イレ、入浴、痰の吸引や投薬など、すべて人の世話にならなければ生きていけない。 にもかかわらず、彼は何の遠慮もなくボランティアたちに指図する。真夜中に仮眠中 のボランティアを呼び起こし、バナナを食べたいと言い出すこともある。本書の書名 もそのことに由来する。 それでもボランティアたちは続々と集まってくる。ボランティアは単に善意で人を 助けるのではなく、自分のことを見つめ直し、いかに生きるべきかについて真剣に考 えるきっかけになる。介助を通して、ボランティアたちも貴重な体験をし、多くのこ とを学んだ。そのことが、重度障害者の日常、ボランティアたちの生活、そして彼ら の思いや内心の変化を通して詳細に描き出されている。(CK)
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