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قصة الكتاب :
新潮社(新潮文庫)(上)/2011年/480ページ/本体670円/ISBN 978-4- 10-129041-6 新潮社(新潮文庫)(下)/2011年/513ページ/本体710円/ISBN 978-4- 10-129042-3 平野 啓一郎 1975年愛知県生まれ、福岡県育ち。大学在学中の1999年に『日蝕』で芥 川賞、2009年『ドーン』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、同年『決壊』 で芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。著書に『一月物語』『葬送』『空 白を満たしなさい』など。
平野啓一郎は現代日本文学を代表する中堅作家の一人である。彼が1998年『日蝕』 で衝撃的なデビューをしてからすでに17年が経った。『日蝕』は中世フランスを舞台 とした小説だったし、彼の最大の長編『葬送』は、19世紀フランスを舞台にしてドラ クロアやショパンを描いた徹底的に知的に作られたフィクションで、日本の現実から はかけ離れたものだった。 節目となるデビュー10年目の2008年に発売された『決壊』ではその彼が、現代日本 社会が抱える病巣に正面からぶつかった。時は2002年の秋。京都を初めとする各地で、 バラバラに切断された死体の首、手、足などが次々に発見される。生首に添えられた 挑戦的な「犯行声明」には、「悪魔」と署名されていた……。この小説が描きだすのは、 現代社会に蔓延する暴力と、インターネットが解き放ってしまった人びとの「心の闇」 である。いずれ現代社会は復旧ができない「致命的なエラー」を起こし、ダムが溢れ るように「決壊」するのではないか。そういう警鐘の意味をこめたタイトルである。 このすべてが、人間の罪と罰について予言的なヴィジョンをもって迫ったドストエ フスキーを思わせる。しかし、『決壊』には神はない。ここで描かれるのは、神なき 時代の犯罪なのである。(NM)
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