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قصة الكتاب :
文藝春秋(文春文庫)/2004年/192ページ/本体430円/ISBN 978-4-16- 766503-6 吉田 修一 1968年長崎県生まれ。1997年『最後の息子』で文學界新人賞、2002年『パ レード』で山本周五郎賞、『パーク・ライフ』で芥川賞、2007年『悪人』 で大佛次郎賞、毎日出版文化賞を受賞。著書に『さよなら渓谷』など。『パ レード』『悪人』など映画化多数。
地下鉄で言葉をかけた女性と東京の公園で再会したのをきっかけに、「ぼく」は彼 女とよく話すようになった。しかし、親しくなっても互いのことについては触れず、 名前さえ聞こうとしない。ある日、彼女に誘われて行った写真展で、秋田の田舎出身 であることを知ったが、その直後、彼女は何かを決心した様子で会場を後にした。 一風変わった作品である。そこには事件もなければ、起承転結らしいものもない。 複数の生き方と人間関係が並行に描かれているだけである。 「ぼく」の先輩である宇田川夫婦は互いに親密になろうとしたが、それが精神的な 負担になり別居してしまう。「ぼく」の両親は仲のよい夫婦だが、母は定期的に「ぼく」 の家に居候し東京の町を一人でぶらぶらする。それが夫婦生活を長持ちさせる秘訣で あるらしい。 もっとも不思議なのは「ぼく」と彼女の関係である。互いに好感を持ち、一日でも 会わないと落ち着かなくなる。かといって、二人とも近付きすぎるのを恐れており、 恋愛の一歩手前で立ち止まってしまう。 人間は他者なしでは生きられない。一方、人間関係を面倒くさく感じることもある。 たとえ、夫婦であろうと、熱愛中の恋人であろうと、無性に会いたいときもあれば、 距離を置きたいときもある。そのあたりの阿吽の呼吸は難しく、すれ違いもその中で 生まれてしまう。この小説では、そのような日々の生活の中にある矛盾や、そこに潜 んでいる感情の陰翳が巧みに描き出されている。(CK)
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