قصة الكتاب :
新潮社/2001年/絶版 佐川 光晴 1965年東京都生まれ。大学在学中に南米を漫遊。出版社に勤務した後、 食肉処理場で働く。2000年『生活の設計』で新潮新人賞、2002年『縮ん だ愛』で野間文芸新人賞、2011年『おれのおばさん』で坪田譲治文学賞 を受賞。著書に『家族芝居』『永遠の誓い』『銀色の翼』『金色のゆりかご』 など。
食肉を作るために牛や豚などの家畜を解体する屠殺業が人間の生活にとってなくて はならない重要な仕事であることは言うまでもないが、現代社会では、まるで触れて はいけないものであるかのように、日常生活の表面からはむしろ隠されるように存在 している。したがって、文学においても題材として取り上げられることは珍しい。 佐川光晴は作家としてデビューする前に、埼玉県の食肉加工場で自ら働いた経験が あり、その経験をもとに『生活の設計』を書いた。作者とほぼ等身大と思われる小説 の主人公は25歳のとき、勤めていた会社が倒産したことをきっかけに、屠殺場に就職 し、妻と共稼ぎで子供を育てながら、地道に働いて仕事を身につけ、帰宅後は家事に も励むという日常生活を送っている。彼は、自分の職業を周囲の人びとに公言するこ とを時々ためらわざるを得なくなるし、そもそも、自分がなぜこの仕事を選んだのか はっきり説明することもできない。しかし、これが自分にとって現時点の「唯一の職 業」なのだ、というある意味では誇らしい宣言で小説は終わる。 屠殺場で働く主人公の日常という題材そのものが興味深いのはもちろんだが、主人 公とその妻、妻の両親、そして友人や同僚などとの関係がきめ細かく描かれており、 自分なりの生き方を求めて模索する現代の若い世代の姿が生き生きと浮かび上がって くる。決して題材の新奇さのみに頼った作品ではない。(NM)
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