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قصة الكتاب :
講談社/ 2014年/192ページ/本体1700円/ISBN 978-4-06-218969-9 小池 昌代 1959年東京都生まれ。詩人、小説家。2000年『もっとも官能的な部屋』 で高見順賞、2001年『屋上への誘惑』で講談社エッセイ賞、2007年「タ タド」で川端康成文学賞、2008年『ババ、バサラ、サラバ』で小野十三 郎賞、2010年『コルカタ』で萩原朔太郎賞、2014年『たまもの』で泉鏡 花文学賞を受賞。
ある日、幼なじみの男――かつて数年間「わたし」と恋愛関係にあった――が赤ん 坊を連れてやって来る。その子の母親は出産直後に事故死した。いつか必ず迎えに来 るから、預かってくれないかというのだ。それは「わたし」がすでに40歳をすぎてか らのことだった。以降、女手一つで男児を育ててきた暮らしが、10年後の地点で語ら れる。ある日突然「託される」ものとしての生命。ひとはそれをただ愛おしみ、大切 に守りつつ生きていくほかはない。 育児をめぐるそんな真実が、揺るぎない形で捉えられている。「わたし」と息子の 関係は、「血の繋がり」がないがゆえにいっそうくっきりと、親子を繋ぐ絆の尊さを 浮き彫りにする。子供という「宝」の重さに圧倒される思いは、「子に勝る宝はない」 という、4~8世紀の歌を集めた『万葉集』にまでさかのぼる日本文学の根底的主題で ある。 同時に、母子の関係にひそむ儚さや、淋しさもここには描かれている。いつかこの 子は自分の前からいなくなるのではないかという意識ゆえに、目の前にいる子供の元 気な姿は「わたし」にとってひときわ魅惑的な輝きを放つのだ。子供とともに生きて いく日々のもたらす深い想いを、詩人としても知られる作者はしなやかな文体で、魅 力的に描き出している。少子化にあえぐ日本社会に子供という存在の素晴らしさを改 めて教える一冊である。(NK)
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