قصة الكتاب :
メディアファクトリー(MF文庫ダ・ヴィンチ)/2010年/223ページ/本 体524円/ISBN 978-4-8401-3432-3 初出:2008年メディアファクトリーより単行本刊行 森岡 正博(モリオカ マサヒロ) 1958年生まれ。哲学者。大阪府立大学人間社会学部教授。生命倫理、現代思想、文明論まで幅広 く研究・著述活動を行う。著書に『感じない男』、『生命観を問いなおす』、『生者と死者をつなぐ』他。
2009年、「草食男子」という言葉が話題になり、同年の新語流行語大賞のトップテ ンに選ばれた。新語の出現は2006年にさかのぼるが、本書が「草食系男子」ブームの 火付け役になったのはまちがいない。 もっとも著者はいわゆる男子の「草食化」を社会現象として考察したわけではない。 恋愛やセックスに関心がないわけではないのに、あまり積極的にならない男子が、ど のように女性と交際すべきか、その手ほどきをするのが目的である。図らずもそのよ うな手引きは、草食系男子と称される男性の特徴と心理を的確に捉えている。 海外では、日本はいまでも「男尊女卑」の社会で、家庭内では男性がみな亭主関白 だと思われているらしい。たしかに団塊の世代はマッチョ型に憧れており、中年以上 の男性の多くはがつがつと異性を求めることを男らしさの表徴と思っている。しかし、 本書でいう「草食系男子」は男性の覇権性には振り向きもしない。若い世代の男性は 女性を尊重し、彼女らの言うことに謙虚に耳を傾けるだけでなく、自らの弱さを見せ ることを美徳としている。 青年男性はいうにおよばず、若い女性にも本書の熱心の読者が少なくない。男女関 係をめぐって静かな変化が起きていることを物語っている書物だ。(CK)
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