قصة الكتاب :
講談社/2011年/303ページ/本体1800円/ISBN 978-4-06-217065-9 古市 憲寿(フルイチ ノリトシ) 1985年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍。慶応義塾 大学SFC研究所訪問研究員(上席)。若者とコミュニティについて研究。 著書に『希望難民ご一行様-ピースボートと「承認の共同体」幻想』他。
日本ではバブル崩壊後、不況が長く続き、格差社会、ワーキングプアなど、社会的 不平等が注目されるようになった。長期間の経済低迷は、中高年の生活を痛めつけた だけではなく、まっさきに不利益を被ったのはむしろ若者世代だ、とする意見が多い。 実際、新規採用が減り続ける中で、若者は就職難にあえぎ、その多くは非正規雇用者 として不安定な生活を強いられている。また、高齢化が進むにつれ、世代間の負担と 給付の格差も拡大しつつある。にもかかわらず、当の若者たちからは反発する動きは 見られない。その理由は何か。 本書によると、世の中で語られている若者のイメージと若者の実像とのあいだに大 きなズレがあり、ましてや本人たちの認識とまったく違うという。若者たちは思われ るほど不幸ではない。本人たちは身近な人たちとの関係を大事にし、小さな幸せに満 足している。もちろん、彼らは若者が不利な状況におかれていることをよく承知して いる。しかし、日本は成熟した社会になり、明日は今日よりよくなることはもはや望 めないのもよく心得ている。 著者自身も若者で、東京大学の大学院博士課程に在学している。この強みを生かし、 インタビューを通して同世代から本音を巧みに引き出した。地道なフィールドワーク と周到な資料調査のおかげで、これまでとまったく違った若者論を展開することがで きた。(CK)
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