قصة الكتاب :
新潮社(新潮文庫)/2009年/672ページ/本体840円/ISBN 978-4-10- 116758-9 初出:2006年新潮社より単行本刊行 三浦 しをん(ミウラ シヲン) 1976年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。2006年『まほろ駅前多田便 利軒』で第135回直木賞受賞。『三四郎はそれから門を出た』など、エッ セイ集も人気を博す。2012年、『舟を編む』で本屋大賞を受賞。
いまにも崩れそうなボロ・アパートの住人である10人の学生が、ある日、「箱根駅伝」 をめざして走りだす。陸上経験者は数人しかいないし、中には、マンガオタクやガリ 勉学生など、運動神経とはほど遠いメンバーすらいる。それでも、日本固有の陸上競 技である「駅伝」、その中でも国民的な注目度も高い「箱根」という夢の舞台をめざ して、学生たちはひた走る。 こうした、まったくありえない設定の物語なのに、いつのまにか引き込まれ、熱烈 なエールを送りたくなってくるのだ。それは、この作品の4割近くがクライマックス の箱根駅伝の場面にあてられているからだろう。ここでは、各区間を走るランナーの 駆け引き、走っている選手とそれをサポートする人たちの活躍など、10人の選手が一 丸となって長距離を走り抜けるという「駅伝」の魅力が余すところなく描かれている。 そして、山あり谷ありの駅伝という長距離走にふさわしく、一人ひとりの走りに各自 の過去や、彼をとりまく仲間たちのことなどがフラッシュバックされていって、しだ いしだいに10人の気持ちがひとつになっていくさまが感動的に描かれていくのだ。 (MT)
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