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قصة الكتاب :
文藝春秋/2010年/471ページ/本体1619円/ISBN 978-4-16-328950-2 初出:産経新聞大阪本社夕刊にて2008年~2009年まで連載 角田 光代(カクタ ミツヨ) 1967年生まれ。2003年、『空中庭園』で第3回婦人公論文芸賞。2005年、『対 岸の彼女』で第132回直木賞受賞。2007年、『八日目の蝉』で第2回中央 公論文芸賞受賞。2011年、『ツリーハウス』で第22回伊藤整文学賞受賞。 著書に『ピンク・バス』、『くまちゃん』、『ひそやかな花園』他。
角田光代は、いま日本でもっとも人気の高い女性作家のひとりだが、最近の創作の 充実ぶりには目覚ましいものがある。2010年の後半には人工体外受精によって生まれ てきた子供たちの運命を追った『ひそやかな花園』(毎日新聞社)、ある女性の成長を ファンタジー性と叙情性豊かに描きだした連作短編集『なくしたものたちの国』(ホー ム社)、そしてこの『ツリーハウス』を次々に出版したが、驚くべきことにこれらの3 冊は互いにまったく違った題材を扱いながら、いずれも、「純文学」的な人間洞察の 深みと、エンターテインメント性の高い優れた物語性の両方を兼ね備え、ジャンルを 超えて優れた小説になっている。『ツリーハウス』の舞台となるのは1990年代末の東 京だが、物語は中華料理店を経営する平凡な日本人の一家の歴史を過去にさかのぼり、 1930年代に日本から満州に渡った祖父母、学園紛争時代に属する父母、そしてカルト 教団の組織犯罪や大地震といった世紀末的な出来事の中で自分の生き方を見つけよう として模索している子供たちの3代にわたって、日本現代史を背景に家族年代記が展 開していく。これまで主として現代社会を舞台に比較的狭い人間関係を描いてきた角 田にとって、初めての視野の広い歴史小説になっていて、注目に値する野心的な作品 だといえるだろう。(NM)
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