قصة الكتاب :
ポプラ社(ポプラ文庫)/2010年/256ページ/570円/ISBN 978-4-591- 12138-2 初出:2005年ポプラ社より単行本刊行 伊藤 たかみ(イトウ タカミ) 1971年生まれ。1995年、早稲田大学政治経済学部在学中、『助手席にて、 グルグル・ダンスを踊って』で第32回文芸賞を受賞。2000年、児童書『ミ カ!』で第49回小学館児童出版文化賞受賞。2006年『ぎぶそん』で第21 回坪田譲治文学賞、同年『八月の路上に捨てる』で第135回芥川賞を受賞。
現代日本の青春にとって欠かせない要素、それは「バンド」活動である。趣味のあ う仲間たちとバンドを組み、あこがれのロックグループのコピーに精を出し、そして いつかステージに立つことをめざす。とはいえ、欧米流の“セックス・ドラッグ&ロッ クンロール”とはまったく異なる、中学生たちの、あくまでかわいらしく、ほほえま しいバンドごっこなのである。本書はそうした日本特有ともいうべき、学校に根づい たバンド文化の模様を、ユーモラスかつ叙情的な筆遣いで描いている。 主人公ガクはアメリカの人気バンド「ガンズ・アンド・ローゼズ」に心酔する中学 二年生の男の子。ギターを弾き、歌を歌う。親友の男子マロにベースをまかせ、ドラ ムは幼なじみの女の子リリイが担当だ。そしてガクは、ギターの腕前抜群の男子がい るといううわさを聞き、ギブソン・フライングVモデルを所有するという、かけるの 自宅を訪ねる。ぼろ家にアルコール中毒の祖父と暮らすかけるの加入で、バンド内に は多少の摩擦が生じる。「ガンズ」の曲もなかなかうまく演奏できない。それでも4人 は、学校の文化祭でステージに立つことを目標にして、心をひとつに合わせ、練習に 励むのだ。そしてまた、主人公とリリイの間には淡い恋も芽生える。 昭和天皇が病に伏した1988年の秋を舞台とする、少年少女の爽やかな物語である。(NK)
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