قصة الكتاب :
集英社(集英社文庫)/2012年/256ページ/本体476円/ISBN 978-4-08- 746817-5 初出:「小説すばる」(抄録)2009年12月号 朝井 リョウ(アサイ リョウ) 1989年生まれ。早稲田大学在学中の2009年、『桐島、部活やめるってよ』 で第22回小説すばる新人賞を受賞。著書に『チア男子!!』、『星やどりの声』、 『もういちど生まれる』、『少女は卒業しない』他。2013年、『何者』で第 148回直木賞受賞。
バレーボール部の「頼れるキャプテン」桐島が、突然部活をやめた。それがきっか けとなって、田舎の県立高校に通う5人の生活に、小さな、しかし確実な波紋が広がっ ていく。野球部、バレーボール部、ブラスバンド部、女子ソフトボール部、映画部。 部活をキーワードに、いろんなところで繋がっていく5人の物語。 この小説を読みだすと、まず、文章のリズムと語感に引き込まれる。さらに、ちり ばめられた比喩が新鮮なイメージを喚起してくれることに気づくだろう。比喩表現の 多い文章は、下手をするとうっとうしく読みづらいものになる。ところが、この小説 の場合、ちりばめられた比喩が、17歳の高校生たちをとりまく世界の空気と彼らの揺 らぐ気持ちを鮮やかに伝えてくれる。いきいきとした言葉の連なりがJ-POPの歌を聴 いているようにも感じられ、心地よいメロディーにのって若者たちが息づいている光 景がありありと見えてくる。 それだけではない、一人ひとりの抱く苛い らだ立ちや喜びを描きながら、巧みな構成で、 ひとつの学校に通う高校生たちのリアルな姿を立体的に浮き彫りにしていく。20歳の デビュー作とは思えないほど完成度の高い作品なのだ。青春小説の名作がここに誕生 した。(MT)
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