قصة الكتاب :
河出書房新社(河出文庫)/2010年/208ページ/本体520円/ISBN 978- 4-309-41006-7 初出:「文藝」2006年秋号 青山 七恵(アオヤマ ナナエ) 1983年生まれ。2005年、『窓の灯』で第42回文藝賞を受賞。2007年、『ひ とり日和』で第136回芥川賞を受賞。2009年『かけら』で第35回川端康 成文学賞を受賞。著書に『魔法使いクラブ』、『わたしの彼氏』、『あかり の湖畔』他。
人間は「ひとり」で生きてゆくことが基本。そんな思想によって肩ひじを張らずに、 生きている現代女性の物語である。 主人公は、高校を卒業後、とりあえずフリーターとして暮らしている女性、三み た田 知ち 寿ず である。彼女は、教師である母親が海外研修となったとき、一人暮らしの遠い親戚、 71歳の吟ぎ んこ子さんのもとに身を寄せる。 そこで年のはなれた2人の女性の「ひとり暮らし」の同居が始まる。吟子さんの家は、 私鉄駅のホームがすぐ近くに見えるが、奇妙な道すじによって駅前の再開発から取り 残されていた。駅には、毎朝人びとが詰め込まれて新宿駅へと向かうが、その人びと を縁側からぼんやりと見送ることができる位置にある。その家は、「ひとり暮らし」 を続ける2人と現代社会との距離の取り方を象徴しているのだろう。 主人公の母親は、大学への進学を勧めたが、「わたしはすぐにお金のことを考え始 めてしま」い、負い目をできるだけ少なくしようと、女親からも社会からも一歩身を 引いて立とうとする。新しい恋人が出来ても、始めから終わりをイメージしている。 ここには、孤独とはちがう、現代の若者の「ひとり」ずつの生活と心境が描かれて いる。(MK)
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